十五期生 / 小谷陽人 / 研究活動

Posted on 2025-01-28
第211回HCI研究会で発表しました(B4小谷)


皆さんこんにちは.松下研究室B4の小谷です. 2025年1月14日(火)~15日(水)に沖縄県那覇市にある沖縄産業支援センターで開催されました第211回ヒューマンコンピュータインタラクション研究発表会で,「器特徴の類似度に基づくユーザの嗜好に合う器の探索支援」という題で発表しました.

発表内容

タイトル:器特徴の類似度に基づくユーザの嗜好に合う器の探索支援
 

著者:〇小谷 陽人,畑 玲音,松下 光範  

 

料理に対して適切な器を選ぶのって,めっちゃ難しいんですよ

家で自分のために料理を作って食べる際には,特に何も考えずただ「盛り付けることができる器」でさえあれば,料理を盛り付ける器なんてなんでもいいと思います.

でもいざ,料理を作ってだれかにふるまってみる!とか,作った料理をSNSに挙げる!となった時は少し話が変わってきます.なぜなら料理を盛り付けることができる,という制約に加えて,料理をどのような場面で提供するか,どのように演出したいかを考えたり,料理単体に対して似合う,似合わないを考えたうえで器を選ぶ必要があるからです.これらの感性は人それぞれなので,料理やその提供場面をネットで調べたからと言ってその「答え」となる器は出てきませんし,出てきた器に対しても「何か違う気がするんだけど,どこが違うかわからない…」のような,モヤモヤした感情を抱くと思います. この感情は普段「盛り付けることができる器」でさえあれば良いと適当に器選択を行っているからこそ,いざというときに「その場面や料理に対する,自身の好みの器」がすぐ頭に出てこないことによって生じます.

「大学デビューするぞ!うんとおしゃれするぞ!でも俺が着たい服はと言われると別に無いんだよな….大学だからちょっとラフな感じがいいな…でもモテるためにはフォーマルな服が良いのか?そもそも俺ってどんな服が似合うんだ?」
そう,いわばこの感じです.

では普段我々は,どのように「料理に適した器」を選択しているのでしょうか.例として「古民家風レストランでお好み焼きを提供するための器を買いに来た」というシチュエーションを想定して,器を選択するための試行錯誤をしてみます.前提として,まずお好み焼きを物理的に盛り付けられる器でないといけません.そのため深さは要らないので浅皿が好ましく,当然器に取手は必要ありません.加えて,自分が前に行ったお好み焼き屋さんで提供された黒い陶磁器の器がおしゃれだったので,そんな感じのものを探したいです.また,「古民家レストラン」というテーマなので,レトロな絵柄(大きめの花がいくつか…とかかな?)が描かれていると尚良いかもしれませんね.

ここまでの思考過程で,与えられたシチュエーションに対して「浅皿,取手なし,陶磁器,黒色,レトロな絵柄」という選択の指標となる特徴が定まったので,これからこの特徴に基づいて,似た器を探してみよう!となります. ここでいう「似た器」というのは,「浅皿,取手無し,陶磁器,黒色」の4つの特徴のうちそれらをどの程度満たすか(基準とした器のもつ特徴との特徴一致度)と,「大きめの花がいくつか入っている模様」とのパターンの類似度の2つの観点に基づいて定義されるものです.本研究ではそれぞれを,基準となる器との「マクロな類似度」,「ミクロな類似度」と呼ぶことにしました.適切な器を選択するまでの過程では,このように定義された似た器同士の比較を繰り返すことで,「大きめの花は多すぎたら騒がしいから,1つか2つでいいな…」とか,「赤だとマリメッコ感凄いから,グレイッシュブルーとか落ち着いてて好きかも」のように,器に対する探索要求を少しずつ具体化していく試行錯誤が想定されます.

本研究では,このようなユーザの探索工程に着目し,「器の特徴や組み合わせに対する自身の好みを少しずつ理解できる器の探索を支援すること」を目的としました.  
提案システムでは,器同士の持つ「マクロな類似度」「ミクロな類似度」に着目しました.これらの類似度に基づいて,ユーザは少しずつ器の特徴を調節しながら器を探索することができます.




以下は,実装した提案システムのデモ映像です.
「次へ」のボタンを押すと,ミクロな類似度に基づいて類似度の高い器を逐次的に提示することができます. また,離散化された特徴は,器の画像の横に表示されているパラメータを変更して再検索をすることで,変更後のパラメータに対するマクロな類似度に基づいて器を提示させることができます. このとき,模様を大きく変えたいときは,模様のパラメータを変更して再検索をかけることで,基準となる器に対して,ミクロな類似度に基づいたクラスを絞り込むことが可能です. その際に「次へ」ボタンを押すことで,その器とミクロな類似度の高い器を逐次的に閲覧することができます. このようにして,器同士のミクロな類似度とマクロな類似度に基づき器同士を繰り返し比較することで,ユーザは自身の器に対する嗜好を少しずつ理解し,料理やその提供場面に対して適切な器を選択できるようになることが期待されます.

本システムは,器に対する試行錯誤にフォーカスした提案であったため,直感的に好き嫌いを判断したり,セレンディピティを考慮した器の提案は難しいという点が挙げられました. 今後はこのような課題の解決を目指すことに加えて,システムのインタフェースについても再度検討を行っていきます.    

論文情報

小谷 陽人, 畑 玲音, 松下 光範. 器特徴の類似度に基づくユーザの嗜好に合う器の探索支援, 情報処理学会研究報告, Vol.2025-HCI-211, No.23, pp.1-7, 2025.

 

感想

人生で初めての学会発表であり,想像以上に厳かな空気間でとても緊張しましたが,先輩方や同期に支えていただけたことで,その雰囲気を楽しみながら発表を行うことができました. また,普段は自分達と接点のない様々な大学の研究発表が聞けただけでなく,その発表中にcosenseで行われていた議論も見ることができました.研究が身近な方々の多様な考え方に触れられたことで,とても有意義な学びの機会になったと感じています.    
実は沖縄に行くのも人生で初めてだったのですが,ご飯とお酒がとにかく美味しかったです.
ハブ酒最高でした.
たくさん食べて飲みました.観光でも沖縄っぽい様々な場所に行けて大満足です.



また沖縄で長い時間を一緒に行動するなかで,(良く言うと,主に山西先生のお陰で)先輩方や松下先生の凄さや優しさを実感できるような機会が何度もあり,今までに自分がどれほどその優しさの恩恵を受けて研究を進められてきたのかを痛感しました.約2年間の間,自分と自分の研究を支え続けてくださり,本当にありがとうございました.    

~ウインナーへ~

学会終わりの日,国際通りののれん街で疲れていた自分達を楽しませてくれて本当にありがとうございました.
その場にいたメンバーの中には,一部不愛想なおじさんが数人混じっていましたが,少なくとも自分達はウインナーのネタのおかげで学会の疲れを忘れられるぐらい楽しめたと思います.
そもそも自分は日常的に芸人さんを見に行く機会が基本的に無いため,ウインナーのネタが(記憶にある限り)人生で初めて,直接芸人さんのネタを見た経験になりました.だからこそ体を張って挑戦し続けるウインナーに対して「本物の芸人さんってこんなに凄いんだ!」ととても感銘を受けました.
自分の中で間違いなくウインナーとの出会いは「沖縄で最も思い出深い出来事」の一つです.
これからも世界を舞台に肉汁を飛ばしながら頑張ってください!
改めて心からありがとぱっちゅ
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