研究テーマの構成

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研究概要

私たちの身の回りにはたくさんのシステムがあります。
携帯電話のように小さくて多機能なシステムもあれば、冷蔵庫のように、大きいけれど冷やす機能のみに特化したシステムもあります。
技術の進歩や発展に伴って様々なシステムが登場していますが、必ずしも全てのシステムが「使いやすい」モノになっているわけではりません。
システムの使い勝手にうんざりしたり、いらだちを感じたりした経験はないでしょうか。

我々の目的は、このような現状を少しでも解消するために、ユーザとシステムとのやりとりを考慮し、機能と使いやすさが両立するような新しいシステムを実現することです。

「インタラクションデザイン」をキーワードとして、機能性の高さ(インテリジェンス)と使いやすさ(インタラクション)とを両立するシステムの実現ならびにその方法論についての研究を行います。
特に実世界インタフェースや自然言語インタフェースを対象とした研究を行っています。

研究テーマの構成

現在は,下記のような研究テーマが進められています.

テーマ:情報編纂・探索的情報検索の支援

電子的に蓄積されたデータの量は時間と共に増加を続けています。
これらの膨大なデータは単なるアーカイブとしての役割にとどまらず、意思決定や問題解決の場面で有用なリソースとしても期待されています。
このような大量のデータの中から必要かつ重要なデータを取り出し、視覚化や要約といった技術を活用してユーザにわかりやすく編纂し提示する技術の実現を目指します。

【学生の研究テーマの例】
探索過程の視覚化によるテキスト集合からの知識獲得支援に関する研究
写真をトリガとした横断的な情報アクセスの支援に関する研究

テーマ:実世界インタラクション

私達がシステムを利用する上で、インタフェースの良し悪しはその使い勝手に大きな影響を及ぼします。
スマートフォンやタブレットのように触れることで操作できる端末や、KINECTやWiiのようにセンサによってユーザに意識させることの少ないデバイスが普及しつつあります。
このような技術を活用したり、あるいは新しい技術そのものを作り出すことによって、より直感的で使いやすいインタフェースの創出を目指します。

【学生の研究テーマの例】
多重赤外波長を利用した情報投影手法の提案
Hedgehog:硬さの変わるインタフェース
物体の動きに着目した人工影生成システム

テーマ:コミック工学・オノマトペの利活用

タブレットやスマートフォン等,ディジタル端末で読むことのできる電子書籍が急速に普及しつつあります.
特にディジタルコミックの普及は著しく,2011 年度の売上高は 514 億円(電子書籍市場の約 81.7%)にまで伸びています.
ディジタルコミックは,従来の紙媒体のコミックと異なり物理的な制約がないため従来のコミックの枠にとらわれない表現(e.g., 話の展開に応じて内容を切り替える,コマに動きを付与する)や利用(e.g., 読み手の母語に応じて言語を切り替える)が可能になりますが,現状では,多くの作品は単に紙媒体のコンテンツをスキャナで取り込んでそのままディジタル化した静的なものであり,ディジタルコミックの可能性を十分に活かせる状況にはありません.
こうした状況を改善し,ディジタルコンテンツならではの利用を可能にすることを目的に,ディジタルコミックをより活用するための技術やその応用についてこれまで取り組まれている研究を概観しつつ,ディジタルコミックの可能性や課題について考察しています.

【学生の研究テーマの例】
漫符を利用した登場キャラクタへの感情付与に関する基礎検討
オノマトペ関連語辞書の逐次的精製とその利用に関する研究
コミックの探索的検索を目的とした内容抽出手法の検討
日本語学習者を対象としたオノマトペ学習のためのデジタル絵本システムの提案

テーマ:コミュニケーション・デザイン

人とシステムのやりとりや、システムを介した人と人とのやりとりを円滑にし、より豊かなものにするには、人の認知的特徴を明らかにしたり、その特徴に基づいたデザインを行う必要があります。
デザインの対象はシステムやツールなどの「人工物」にとどまらず、人にどのように使って欲しいか、どうすれば円滑にコミュニケーションできるかといった、「ふるまい」をも含みます。このような「ふるまい」をデザインするために、分析・実験・実装というサイクルを繰り返していきます。

【学生の研究テーマの例】
入力方法の違いが文章を纏める過程にもたらす影響
就職活動における内省支援の検討
父子を対象とした家庭内非同期コミュニケーション支援に関する基礎検討
アウェアネス情報の可聴化による遠隔コミュニケーションの支援