十三期生 / 新川晴紀 / 研究活動

Posted on 2024-02-21
第14回仕掛学研究会で発表しました(M1 新川)


こんにちは!M1の新川です.2024年2月17日(土)に大阪大学豊中キャンパスで開催された第14回仕掛学研究会で発表しました.

(会場内撮影禁止だったので,看板だけ撮ってきました笑)

発表内容

タイトル:果樹農家が期待する行動への変容を促す仕掛け設計のための収穫作業体験者の行動観察とモデル化

著者: ○新川 晴紀, 松下 光範

概要:農業人口の減少に伴う作業者不足を補う手段として収穫作業体験の活用が期待されているが,レジャーとしての収穫作業体験と農作業の間には目的意識の齟齬がある.この解消を目的として,本研究では果樹農家と収穫作業体験者のインタラクションを観察し,農家が期待する行動へと変容させる手がかりとなる要因を明らかにする.併せて,それをモデル化することで,農家が期待する収穫への貢献を促す仕掛けの設計指針につなげる.

サクッと解説:
少子高齢化による農業全体の働き手の減少に伴い,繫忙期に人手を確保することが困難になっています.特に果樹農業では,中山間地で栽培されることが多く,平地よりも過疎化が進んでいることから人手確保の困難に対する影響が大きくなっています.また,急な斜面や狭く入り組んだ土地の影響で機械化が難しく,人手に頼った農作業が多くあります.こうしたことから地域の外から人手を集める仕組みが必要になっています.

そこで,着目したのが収穫作業体験です.収穫作業体験は果樹狩りのように収穫作業や収穫した果実を食べるというレジャー要素を含みつつ,実際に農家が働く現場で仕事を体験するというコンテンツです .

 

こうした収穫作業体験が,収穫作業に興味を持つ人が訪れるきっかけとなることで繁忙期である収穫期に作業者を確保する手段として注目されています. 一見すると,収穫作業体験者の活用が作業者確保の解決手段として有効であるように思います.しかし,体験者はレジャー体験として取り組む一方で,果樹農家は体験者に対して効率的あるいは継続的な作業者として収穫への貢献を期待しているという目的意識の齟齬が生じています.そのため,なかなか定着しなかったり,作業者として期待する収穫の量に満たなかったりと収穫作業体験者が十分に機能していない恐れがあります.



そこで,収穫作業体験者に対して果樹農家が期待する行動を取ってもらうために,体験の満足度を高めつつ,体験者が自発的に効率的な収穫作業の学習をするよう促すことが重要になってきます. 本研究では,こうした課題を解決するために仕掛学の観点から収穫作業体験者の行動を果樹農家が期待する行動へと変容するように試みます.仕掛学は,人の好奇心や遊び心を利用して行動変容を引き起こす”仕掛け”を対象とした研究分野です.行為者に強制することなく個人あるいは社会にとってより望ましい行動が選択できるように,人が知覚できる刺激に「物理的トリガ」(physical trigger)として”仕掛け”を設置し,それによって引き起こされる「心理的トリガ」(phycological trigger)を組み合わせることで誘導するアプローチです.

こうした観点のもとで”仕掛け”を施し,体験者が楽しみつつ,自発的に効率的な収穫作業方法を学習するように促すことで,果樹農家が期待する行動への変容を狙います.今回は,”仕掛け”を施す前段階として何が収穫作業体験者の行動を変容させる要因として効果があるのかを調査しました. 結果としては,量を意識させるきっかけとして仕掛けを施すことで,グループの連帯感や体験者の自己実現欲を刺激し,それらがモチベーションとして作用することで,自発的に試行錯誤や情報収集を繰り返し,効率的な収穫作業を学習する可能性が伺えました.



今後は,今回の調査で明らかになったことをベースとして”仕掛け”を施していきます.  

発表資料https://www.slideshare.net/slideshows/harukishinkawa2024pdf/266413530



感想:
 FIT2023での発表以来,約5カ月ぶりに学会へ参加をしました.前回の発表では松下先生や松下研究室1期生の白水さんに資料作りから当日の発表に至るまで手取り足取り指導して頂き,まさにおんぶにだっこ状態でした.今回の発表では,松下先生や白水さんからご教授して頂いたことを自分なりに解釈し,「聴講者が分かりやすい資料とは?」「”伝える”にあたり何が必要で何が必要ないか」を考え,資料1枚ごとに「何を伝えたいのか」「しっかりと伝わるのか?」ということを意識して資料を作成しました.その結果,聴講者の方々と次の研究に繋がるようなアイデアの議論ができたことから,しっかりと研究の内容を理解してもらえたように思います.
 一方で,発表時に言葉が詰まるなどしてスムーズな発表ができませんでした.この原因は,発表練習を疎かにしたことにあります.資料の完成度を意識しすぎるあまりスケジュール通りに進めることができず,発表練習に時間を割くことができませんでした.今後は,学会に臨むにあたり資料作りのスピードを上げ,しっかりと発表練習に取り組んでいきたいと思います.
 今回は,反省点が多々ある中でも少しづつですが自分の成長を実感できた学会参加となりました.残り1年となった学生生活が有意義な時間となるように精力的に研究活動に取り組み,学会にもじゃんじゃん参加していこうと思います!

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