徳丸晴天 / 畑玲音 / 研究活動

Posted on 2024-04-01
DEIM2024で発表しました(B3徳丸)


みなさんはじめまして!
松下研究室B3の徳丸晴天です.
2024年2月28日(水)~3月1日(金)にオンラインで,2024年3月4日(月)~3月5日(火)に兵庫県姫路市のでアクリエひめじで開催されました「DEIM2024:第16回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム」で発表しました.
   

発表内容

タイトル:アート観賞イベントと連動したインタラクティブな街歩き型ストーリーリーダーの一検討

著者:〇徳丸 晴天,畑 玲音,松下 光範,徳山 美津恵

みなさんはアートイベントというものをご存じでしょうか.
アートイベントとは,街に訪れてもらうことを目的として,その街を巡ってもらうために,街中でアート展示を行なうイベントです.
特に,街おこしのために街を対象にしたアートイベントが開催されています.このイベントを通して,街のいろんなところを巡って欲しい!ということが目的になります.
しかし,想像してみてください.駅に降りたとき,商店街などの目的地に行ったとき,その場所から近いスポットにしか,行ったことないような気がしませんか?ましては,賑やかな街から離れて目的もなく散歩する機会は少ないですよね. ただ,それだと街の「いろんなところを巡ってほしい」という願いは叶いません.また,賑わいのある場所から離れたところにあるお店の人にとっても不満ですよね.

街のいろんなところに行ってもらうために,スタンプラリーなどが実施されています.ただ、スタンプラリーをするときはいかに早く,効率よくスタンプを集めることやスタンプを集めたら景品がもらえるから仕方なく,,,など街を巡ってもらうという目的からずれてしまう恐れがあります.そのため,スタンプが置いてあった,本来じっくり堪能して欲しいスポットに注目してもらいにくいという問題があります.このままでは,「スタンプラリーの実施がないと街に来てもらえない」,「街にはいったもののどういう街か全くわからなかった」というような問題が起きてしまいます.そうならないために,スタンプのあるスポットに注目してもらいながら,街を回遊をさせたいと考えました.

本研究の目的は「コンテンツ体験に関心を向けつつ回遊を誘発すること」です.

目的達成のために,「現実のコンテンツ体験を組み込んだ物語の観賞」を足掛かりにする手法を提案します( ただし,今回はコンテンツ体験をアートの観賞としました ).


手法について詳しく説明します.あなたが街に訪れたとします.あなたには,物語を読むアプリを使いながら,街を歩いてもらいます.あなたが物語を読み進めると,物語の途中で主人公がアートを観賞する展開を迎えます.その時,あなたも同じアートを 実際に見に行きます.こうすることで,現実と物語に繋がりが発生します.なぜ繋がりが発生するかというと,あなたと主人公の環境や状況が同一になるためです.このように繋がりが発生する事によって,見ているアートにコンテクストが与えられます.コンテクストというのは,物語の内容やアートに関する知識です.

あなたがアートを観賞したら物語の続きに進むのですが,アートのある場所に行かないと続きが読めないようになっています.物語を読み進めて,主人公がまたアートを観賞する展開を迎えたら,あなたも再びアートを見に行きます.そこでアートを鑑賞して,物語の続きに進みます.たまに,主人公がお店に行く展開を迎えるので,その時あなたは主人公が訪れるお店を選びます.すると,選んだ店が物語に反映され,主人公がそのお店に行くようになるので,あなたも選んだお店に行きます.お店に着いたら、物語の続きが読めるようになります.

このように主に物語を読むことと,アートを見に行くことを繰り返します.たまに,主人公がお店に行く展開を迎えるので,その時あなたは主人公が訪れるお店を選びます.すると,選んだ店が物語に反映され,主人公がそのお店に行くようになるので,あなたも選んだお店に行きます.お店に着いたら、物語の続きが読めるようになります.

このようにすることで,あなたの意図を必要とせず,アート観賞や街の回遊をさせることが期待されます.どういうことかというと,物語を読み進めることで,いつのまにか,街を歩き回っていて,アートを観賞する状況になるということです.また,鑑賞するアートにコンテクストを与えることで,あなたがアート観賞への関心を向けることが期待されます.

次に,本研究で対象にした街について説明します.

今回対象にした街は,大阪府大阪市にある十三(じゅうそう)という街です.十三って初見では読めないですよね.この街は梅田から近く,十三駅は乗り換えの駅として有名です.また,居酒屋などが多く立ち並んでおり,飲み屋の街としても有名です.ただ,この街には過去に風俗やラブホテルなどが多くあったことから,治安が悪いというイメージを根強く持たれています(現在はそんなことないのに…).

そのような良くないイメージを変えるために,街おこしとして,淀壁や十三アートフェスが実施されています.淀壁は,街中の建物の壁に大きなアートを制作する活動です(20か所くらいあるのでぜひ見に行ってみて下さい!).十三アートフェスは,様々な場所や店舗にてアート展示やイベントを開催しているものです(プロからアマチュアまで多種多様なアートやイベントが開催されていているのでぜひ参加してみて下さい!).

今回はこのようなアートを用いた町おこしが盛んに行われている街を対象にしました.


実際に作成したアプリが,街歩き型ストーリーリーダーである「TokoTokoBanashi」です.
TokoTokoBanashi」十三にあるアートを見に行く事によって,物語の続きを読み進めることができます。

「a:物語選択画面」で物語を選んで,「b:物語観賞画面」で物語を読み進めます.物語の中でアートを観賞する展開を迎えると,あなたは「c:地図閲覧画面」を見ながら,アートのある場所に向かいます.実際に行ってアートを鑑賞して,再び物語を読み進めます.たまに,物語の中でお店に訪れる展開を迎えるので,「d:店舗選択画面」でお店を選んで、実際に選んだお店に向かいます.
こちらのTokoTokoBanashiを十三アートフェス2023で配信して,検証を行いました.

「TokoTokoBanashi」は現在公開中なので,ぜひ使ってみて下さい!
「TokoTokoBanashi」へのリンク
「TokoTokoBanashi」という名前は,とことこ歩き回ってほしいという願いから名づけられました.
(「TokoTokoBanashi」の名づけ親とロゴの作成者は共同著者の畑玲音さんです.かわいい名前とロゴですよね.私も気に入っています.ちなみに「B」をよく見てみると「13」になっています!こんなところに十三が隠れています.)

発表資料

HarutakaTokumaru_アート観賞イベントと連動したインタラクティブな街歩き型ストーリーリーダーの一検討_deim2024 from Matsushita Laboratory




感想

私は今回が初めての論文執筆,学会発表でした.今の私にとって論文を書くのは大変で,自分の考える力や言語化能力の無さを痛感しました.また,学会発表はすごく緊張しました.ただ,始まってみると意外に緊張はほぐれ,特に現地でのポスター発表は楽しかったです.なぜ楽しかったかというと,自分の研究に興味を持っていただけたり,自分の想定しなかった指摘を頂けたからだと思います.

研究活動の中や学会発表で意見を多く頂き,自分一人では思い至らなかったことにも多く気づくことができました.自分が問題として捉えていなかった部分が実は慎重に扱わなければならなかったり,想定していなかった問題があったりと,驚きの連続でした.それによって,今後はより幅広い視点で物事を考えられるようになったと感じます.研究活動をし,論文を仕上げ,学会で発表したことは,間違いなく自分の力になったと思います.

今回発表した研究は,松下研究室が携わっているプロジェクトが対象とする街である十三でなにか面白いことをしようというところから始まりました.それに伴って十三について調べていると,十三が抱える問題を知り,何をすればその問題の解決に繋がるかを考えていったところ,今回の研究内容になりました.

研究内容は私一人が考えたのではなく,松下先生や畑先輩と一緒に考えていきました.また,十三で活動する団体である淀川アートネットの牟田様や徳山先生にもご協力頂きました.この研究は多くの方にご協力して頂いたものなので,本当に感謝しています.同時に,研究活動は一人ではできないと気づきました.これからも,多くの人に協力して頂きながら,研究活動をしていくと思うので,私自身日々精進していきたいと思います.

p.s.
発表の前日の夜に初めて姫路おでんを食べました.とても美味しかったです!
みなさんも姫路に行ったら食べてみて下さいね!
Posted in 徳丸晴天, 畑玲音, 研究活動 | Comments Closed

Related Posts