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Posted on 2022-05-16
DEIM2022に参加しました&受賞しました


こんにちは,M2の樋口亮太です.2022年2月27日〜3月2日にオンライン開催された第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムに研究室メンバー5名が参加しました.またM2の山本が学生プレゼンテーション賞に選出されました.

発表内容

玄道俊

タイトル:コンテンツと人の関係に着目したコンテンツデータセットの抽象化によるデータ利用傾向の俯瞰

著者:玄道俊,松下光範,山西良典

概要:本稿では,コンテンツと人の関係に着目した抽象化に基づいて,複数のデータセットに含まれるデータ項目群を横断的に理解するための情報整理のフレームワークを提案する.商品検索や料理など様々な目的に応じたアプリケーション研究への利用を念頭に様々なコンテンツに関するデータセット(コンテンツデータセット)が公開されており,これらのデータセットを利用した研究が数多く報告されている.現状では,コンテンツデータセットは,扱うコンテンツの違い(例えば,レシピやホテルレビューなど)に従ったデータセット単位で整理されている.そのため,異なるデータセット間では,共通あるいは類似した性質をもつデータ項目が存在していたとしても,それらの関係性を読み解くことは容易ではないため,複数のコンテンツデータセット内のデータ項目を横断的に整理可能にする必要がある.提案手法では,コンテンツデータセットに含まれるデータ項目の性質を,コンテンツ自身とコンテンツを提供するクリエイター,コンテンツを利用するユーザの3者の関係によって抽象化する.抽象化によって同一の性質をもつと判断された異なるデータセットに含まれるデータ項目を扱った研究論文について,データ利用に関わる単語の出現傾向を考察することで,提案手法の妥当性を議論した.

樋口亮太

タイトル:単語の頻度と意味に基づいたコミックに関するテキスト情報源の特性分析

著者:樋口亮太,山西良典,松下光範

概要:本稿では,コミックに関する説明文やレビュー文といった同一コンテンツを扱うテキストでも情報源によって記述内容が異なることに着目し,出現単語から各情報源の特性を分析した.コミックは画像と言語によって構成されるマルチモーダルなコンテンツであるため,内容に基づくコンテンツを直接的に処理するアプローチは難しい.間接的にコンテンツの内容を処理するための方法としてコミックに関するテキスト情報の分析があるが,テキストの情報源の違いによる特性についての知見は見当たらない.作品の詳細を伝えるために用意された説明文と作品を読んだ読者の感想が書かれたレビュー文の2種類の情報源の対象とし,テキストに含まれる頻出単語を意味的に分類することで,同一コンテンツに対する異なる情報源での特性の違いを分析した.その結果,説明文には登場キャラクタの家族構成や身体情報,性別といった内容を示す単語が,レビュー文にはイラストや作風といった作品のメタ的な情報を示す単語がそれぞれ特徴的に現れることを確認した.コミックに関連するテキスト情報において,作品の説明文はレビュー文に比べて内容に基づくアプローチの情報源として有用である可能性が示唆された.

山本京佳

タイトル:半教師ありNMFを用いた裁判事例に関連する憲法条項の推定

著者:山本京佳,山西良典,松下光範

概要:特定の専門分野における専門知識をもとにして様々な事例にアドバイスや解決方法を提案する職業(例えば,弁護士や医師など)では,専門分野の知識体系からそれぞれの事例に関連する知識を論理的に導き出している. 事例と専門知識を関連付ける思考過程は暗黙知とされることが多く,特定の分野での専門家になるためには,専門知識を網羅した学習を行ったうえで,様々な状況に応じた知識の適用例を見聞きすることで,適切に紐つける方法を習得する必要がある. 本稿では,判例を対象として,事例(裁判に関わる事実)と専門知識(憲法条項)を自動的に紐付ける技術の有用性を検証する. 提案手法では,憲法条文を半教師あり非負値行列因子分解のテンプレートとして,裁判に関わる事実を示す文書集合を因子分解することで,裁判事例に関連する憲法条項の関連率を分析した. 判例ごとに判決文を参考に検証した結果,裁判事例に関連する憲法条項に適当な推定が行われていることを確認した.

河野雪乃

タイトル:私に似合う化粧を学ぶためにー化粧品レビューと化粧動画の発話の語彙分析ー

著者:河野雪乃,安尾萌,山西良典,松下光範

概要:本研究の目的は,検索者の肌質や目指す印象をクエリとして化粧動画を検索できるようにする技術の実現である.化粧では,個人の嗜好や感性,体質など様々な要素に基づいて化粧品や化粧方法の選択を行う必要があり,その参考情報となる化粧品や化粧手段を紹介する動画や化粧品のレビューサイトが増加している.現状のキーワードベースの検索技術では,検索者の意図する制約条件(肌質など)やコンテキスト(清楚メイクなど)を適切に反映した参考情報にたどり着くことができない.この問題を解決するためには、化粧に指向した語彙に基づく適応的な情報検索を可能にする必要がある.その端緒として本稿では,化粧品のレビュー文や化粧動画に含まれる発話から肌や印象についての情報を抽出し,それぞれの情報源における化粧語彙セットの特性を分析した.その結果,化粧品のレビュー文からは化粧品の特性や評価に関する情報が,動画内の発話からは塗り方に関する情報が得られること,用いられる化粧語彙のクラスに偏りがあることが確認された.

宮川栞奈

タイトル:異なる作品間のキャラクタの関係性を比較するための相関図可視化システム

著者:宮川栞奈,松下光範

概要:本研究の目的は,コミックに描かれるキャラクタ同士の関係性をインタラクティブに提示するシステムの実現である.コミックにはしばしばキャラクタ間の関係が人物相関図として描かれるが,それを利用して複数の作品間の関係性の類似や相違を観察したり,類似した関係のキャラクタ同士を他の作品から検索したりすることは現状では難しい.また,同じ関係性のキャラクタ同士であっても,キャラクタの性格が異なれば,ユーザが受ける印象は異なってくる.そこで本稿では,このようなキャラクタの性格とキャラクタ同士の関係性を同時に把握できるキャラクター相関図のインタラクティブな可視化を提案する.提案手法では,foaf を用いて関係性をラベリングしユーザが選択できるようにすることで,気になった関係を確認することを助ける.加えて,複数の作品のキャラクタ相関図を併置し,ユーザが選択した関係性と同じラベルの関係性を強調することで,異なる作品間に現れる類似した関係性を確 認することを助ける.提案システムを用いて,指定した関係性をユーザが正しく理解できたかを検証した結果,平均 92.7%の正答率が得られたことからシステムの有効性が示唆された.

感想

玄道俊

何度も練習した甲斐あり,落ち着いて発表することができました.今回のDEIM2022は私にとって最後の学会発表でした.結局,一度も現地開催の研究会、学会に参加することはできませんでしたが,その分オンラインで遠方の全国の人から意見を頂けた2年間でした.春から社会人.研究や学会発表で培った能力を全力で活かしていきます.

樋口亮太

まずは学会発表に至るまでにご助力頂いた先生方や研究室のメンバーに感謝を申し上げます.周りに支えてくれる人がいたからこそ,このような貴重な経験を得ることができました.楽しかったです!本当にありがとうございました!!(’ω’)/ 私ごとで恐縮ですが,初めて参加した学会では自身の未熟さゆえにとても悔しい思いをしました.そのような気持ちを胸に今回の学会では,自分の力で挑戦するという目標のもと望みました.以前と比較すると,確かに作業の大部分を自分でやりとげたと思います.達成感は大きかったし,俺って賢くなったなあと感じることが多かったです.今回は成功したと思います!! 一方で,発表当日からしばらく経った現在にその時を振り返ると,全て自分の力で成し遂げるといった小さなプライドは捨てて,準備段階でたくさんの人ともっと議論をしていれば,今回の経験はさらに良いものになったのではないかと反省しています.バランスが難しいですね... 僕にはあと1年しか時間が残されていないので,学べることは限られています.最高の経験だった!大学院に行って本当に良かった!って言えるようにもう少しだけ踏ん張ってみます(’ω’)<ウオオオオオオ

山本京佳

新型コロナウイルスの影響により研究会はオンラインでの開催となりました.前回の学会発表も同様にオンライン開催であったので,特に環境面で困ることなく発表に集中できました.質疑応答の時間では,研究の目的意識をいかにわかりやすく伝えるかを意識して発表準備をしていた甲斐あってか,研究目的や取り組みに加えてデータの詳細なところにまで興味を示していただけ,貴重な意見をいただくことができました.また,研究を評価していただき学生プレゼンテーション賞をいただきました.初めての受賞ということもあり,大変嬉しかったです.これを励みに,修士論文に向けて今後も精進していきたいと思います.

河野雪乃

今回は,私にとって人生初の学会発表となりました.学部外,かつフォーマルな場であったため,自分の発表が終わるその瞬間まで緊張が解けなかったことを今でも覚えています.質疑では,研究意図や今後どのようにデータを拡張していくのかという内容を聞かれました.簡潔に回答できない場面もあり,まだまだ改善点が残るものでしたが,貴重な経験ができました.惜しくもオンラインでの開催ではありましたが,多くの研究者や企業の方々が集う場に参加できて本当に良かったです.今回取り上げたこの研究分野がより一層盛り上がっていくことを祈っています.

宮川栞奈

今回はコロナの影響でオンライン開催となりました.初めての外部での発表は大変緊張しました.質疑でどう対応すればいいかわからず困惑していたところ,先輩方からアドバイスをいただき,拙いですが返答することができました.また,初めてポスター発表にも参加しました.できるだけ手短に自分の研究について相手に伝えることの難しさを改めて感じました.まだまだ発表の仕方やスライドの改善点がありましたが,議論を繰り広げることができました.学校外の方々から頂いた意見や疑問点は今後の研究を改善するにあたりとても重要なものです.今回得られた経験を糧に,今後も精進していきます.

(文責:樋口亮太)

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